ネットサービスのユーザー登録の時、他のユーザーと重複しない名前を入れさせられることがよくありますよね。個人を識別できる文字列が必要なのは分かるのですが、なぜメールアドレスとパスワードだけではだめなのでしょう。メールアドレスは他人と重複しないし、各個人がよく憶えているので、使いやすそうですが。
それは、いわゆるユーザーIDが、ユーザーページのURLに含まれたり、お互いを呼び合うための名前というソーシャルな使われ方をするからだと思います。メールアドレスが誰でも見られるURLの一部に入るのはさすがにまずいです。また、英数字だけというよくある制限も、URLに含めるのに都合がいいという面があるのでしょう。
ユーザーIDには、アイデンティティーという心理的な意味もあります。IDをユーザー本人が設定し、システム上それを変更できない場合、ユーザーにはその名前に対する強い責任が生まれます。匿名の是非論争というのはネット上でしばしば起こりますが、是非はともあれ、建設的な言論を求めるユーザーは、IDの考え方がしっかりしたサイトを好む傾向があるように思います。(例えばはてな。)
しかし、アイデンティティーは置いておいて、個人の利便性だけを考えたとき、サービス全体で重複のないIDをユーザー本人が登録しなければいけないというのは、面倒なものです。ちょっと気の利いたサイトでは、入力した文字が使用可能なIDかどうか簡単にチェックできるボタンなどが用意されていますが、使いたかったIDがもう他の人に取られていることもよくあります。そうすると別のIDを考える必要があります。あまり色々なIDをつけていると、どのサービスでどのIDを使っていたか忘れてしまいます。
他方、URLなどに含まれる文字列は、ユーザー登録とは関係なく設定できるというサイトもあります。これは利便性と社会性を切り分けた設計だと思います。そうした設計の有名サイトの中では、例えばFlickrは一度URLを決めてしまうと変更できませんが、Tumblrは何度でも変更できます。そういう細かい違いもあります。
データベース上のIDとしては、ただの連番を振るのが基本ですから、連番IDをURLに使うこともできます。mixiではそうなっています。ライトユーザーが意識することはあまりありませんが、プロフィールページなどのURLに現れている数字が連番IDです。ログインの時は、メールアドレスとパスワードを使いますね。ユーザー同士で呼び合う時は、ニックネームや本名を使っていると思います。
mixiは招待制のSNSなので、外部サイトから直にプロフィールページを参照するということをあまり想定しないのでしょうし、URLの意味をあまり考えないライトなユーザーが多いようですから、IDをユーザー本人につけてもらうよりは連番のほうが確かに合っている気がします。
結局のところ、運営者側がサイトの性格をどう考えているか、ユーザーにどのように行動して欲しいかによって、ユーザーIDの扱いは変わってくるのだと思います。当たり前の話ばかりかもしれませんが、ちょっと自分の頭を整理してみました。
最後に、利便性だけを言うなら、そもそもIDやバスワードを使ってログインするのが面倒だと感じる人も多いようです。それもある意味まっとうな感覚だと思います。セキュリティ上のリスクは増しますが、多くのサイトがログイン状態を長く保つオプションを用意しています。複数のサイトで共通に使えるOpenIDの採用も進んでいます。しかし、安全で便利なWebというものの共通認識ができるのは、もう少し先になるでしょうか。このあたりの感覚は本当にサイトやユーザー層によってまちまちですね。

株式会社マリーチで企画、開発を担当する道須のブログです。